“普通”は簡単に崩れ去ってしまう
10年苦しんだアトピーを改善したあと、僕は“普通”ということに、とても感謝するようになりました。
“普通に健康でいられること”や“普通に外に出られること”といった、当たり前に考えていることが、実は意外と簡単に崩れ去ってしまうんだということを知ったからです。
アトピーになる以前の僕は、学生時代からずっと他の人とは何か違うことをしたいと思っていました。
「普通の生活なんて嫌だ」、「特別な人生を生きたい」と…。
でも、20代のとき、アトピーを発症したことで、僕の日常は大きく変わってしまいました。
価値観と思考の一変
体のかゆみと痛みに苦しみながら、家のなかにこもりっきりの毎日…。
仕事もできないし、外出することさえままならない時期も短くはありませんでした。
結局、僕はアトピーを治すのに、発症から約10年の時間をついやしました。
今思えば、皮肉なもので、ある意味“特別”な人生を手に入れたのかもしれません…。
もちろん、あんなに理不尽で過酷な日々には、もう二度と戻りたくはありませんが。
ただ、そんな苦しくつらい日々から学び得たこともあるのです。
それは、普通に生活ができる・生きられることが、どれだけありがたいことなのか、そして尊いことなのかということです。
アトピーを発症する前、特別な人生を追い求めて生きていた“普通の毎日”こそ、素晴らしく、感謝するべきものだったと思うようになりました。
アトピーの苦しみは、僕の価値観や思考を一変させるのに十分でした。
“普通”への感謝がもたらす変化
アトピーも改善して、僕は40歳となりました。
アトピー発症前とは違い、普通の日々を大切にし、感謝して生きています。
そして、そのおかげかどうかはわかりませんが(僕はそのおかげだと思っていますが…)、今はちょっとしたことにも喜びを感じるようになりました。
今までに当たり前だと勘違いしていて、見落としていた幸せに、気付けるようになってきたのかもしれません。
アトピーの経験は、本当につらくて失ったものもたくさんありましたが、普通に生きられる素晴らしさを教えてもらったので、大局的に考えると、僕の人生にとっては間違いなくプラスになっています。
そして確実に、アトピー以前よりも、僕は自分の人生を楽しめるようになりました。